テーマ「ずーっと使う_01」…レターオープナーLo1 テーマ「ずーっと使う_01」…レターオープナーLo1 バルカナイズドファイバーをご存知ですか。高級旅行鞄ブランドの「グローブ・トロッター」で使われている材料です。ここでオッ!高級素材と思いきや、調べてみると電気部品の絶縁体や溶接工のマスクだとか通用箱に使われている縁の下の力持ち、なんと100年近い歴史が有るそうです。分類は「紙」です。濡れると柔らかくなりますが水には溶けません。そして、乾くと曲がったまま硬くなります。この紙で何かを創ろうと思い、たどりついたのが「紙のレターオープナー」厚さ0.5mmなので当然使っているうちに波打ってきます。そうしたら先に書いたように濡らして本にでも挟んで、乾いたらあら不思議元通りというわけです。飽きなければ半永久的に使えます。 本に挿んで乾かしているのを見て、オッこれは栞(ブックマーカー)にも使えそう。なかなか評判が良かったので調子に乗って商品化しました。上の画像がそれです。 使い続ける。愛し続ける。 壊れたら買い替える。飽きたから新品と交換する。…そんな時代はもう終わりました。気に入ったモノをじっくり選び、自分のカラダの一部になるまで使い込む。不具合が生じたら手直しする。道具と長く付合い、自分好みに育てる。これからの時代の豊かさとは、そういうことだと考えます。 田口英紀 プロダクトデザイナー 未来デザイン 主宰者桑沢デザイン研究所と日本デザイン福祉専門学校(旧称日本デザインスクール)にて学ぶ。在学中にプロダクトデザイン事務所のデザイン・アシスタントとして働いて以来、プロダクトデザイン一筋で様々な分野での製品開発に関わってきた。卒業後、時計メーカーに移籍し最先端のデザイン開発に従事した後、仲間と共にスタツフデザインアソシエイツを設立。プロダクトデザインやデザインコンサルティングを長年に渡り手がけてきている。プロダクトデザインの新しい地平を切り開くべく、現在も様々な分野に挑戦している。2014年には、デザインの力と町工場の製造力を繋げるため、未来デザインの前身となる「デザイン講座」を立ち上げた。2020年春には、京都芸大通信教育部に入学。